\LaTeX における文字の大きさの変更方法を,「部分的に文字サイズを変える方法」と「文書全体の文字サイズを変える方法」に分けて解説します。
部分的に文字サイズを変える方法
部分的に文字を変える方法を3つ紹介します。
部分的に文字を変えるオーソドックスな方法
文字サイズを変更したいときは,基本的に以下の命令を使うのが普通です。文書中・数式中のどちらでも使えます。
| 出力 | コマンド | 標準サイズを10ptとしたときの大きさ |
|---|---|---|
| \tiny \text{AB}, f | \tiny | 5pt |
| \scriptsize \text{AB}, f | \scriptsize | 7pt |
| \footnotesize \text{AB}, f | \footnotesize | 8pt |
| \small \text{AB}, f | \small | 9pt |
| \normalsize \text{AB}, f | \normalsize | 10pt,デフォルトのため使わなくて良い |
| \large \text{AB}, f | \large | 12pt |
| \Large \text{AB}, f | \Large | 14.4pt |
| \LARGE \text{AB}, f | \LARGE | 17.28pt |
| \huge \text{AB}, f | \huge | 20.74pt |
| \Huge \text{AB}, f | \Huge | 24.88pt |
書き方は {\large AB} のような書き方をします。もし単に \large とだけ書くと,後ろの文全体が大きくなります。
任意の文字サイズを指定する方法
任意の文字サイズと行送り(baselineskip)サイズを指定することもできます。「行送り」とは簡単に言うと「上の行の行間の広さ+その行の文字の大きさ」です。(実際はベースラインから、その上の行のベースラインまでの距離を示します。)
使い方は,\fontsize{文字サイズ}{行送り}\selectfont の形です。
こんにちは
\fontsize{20pt}{20pt}\selectfont
こんにちは
\fontsize{20pt}{20pt}\selectfont
こんにちは
\fontsize{20pt}{60pt}\selectfont
こんにちは
\fontsize{50pt}{100pt}\selectfont
こんにちは
と入力したときの出力例は以下の通りです。

なお,{\fontsize{12pt}{12pt}\selectfont AB} のように波カッコで囲うと,その範囲だけに適用させることができます。
しかし,欧文において実際のところは思い通りのサイズにならず,\large, \Large などのうち,一番近い大きさになってしまう問題が出ることもあるようです。
また,jsarticle など,js で始まるクラスの場合,20pt でなく 20truept としないと正確なサイズになりません。
graphicxパッケージを用いて文字をスケールさせる
\usepackage{graphicx} として,graphicxパッケージを用いることで,文字をスケールさせることができます。(うまく読み込めない場合は \usepackage[dvipdfmx]{graphicx} としてみてください)
使い方は,\scalebox{⟨h-scale⟩}[⟨v-scale⟩]{⟨text⟩} です。h-scaleで横幅を変え,v-scaleで縦幅を変えます。v-scaleは省略可能で,この場合は,h-scaleと同じだけ拡大されます。以下,その例です。
This is a \scalebox{2}{big} pen.
This is a \scalebox{0.5}{big} pen.
This is a \scalebox{2}[1]{big} pen.
This is a \scalebox{1}[2]{big} pen.

もちろん,日本語でも使えます。
全体の文字サイズ(標準サイズ)を変える方法
最初にドキュメントクラスを定義する際に,オプションとして指定します。たとえば,
\documentclass[12pt]{jsarticle}
のような感じです。デフォルトは 10pt のクラスが多いでしょう。
jsarticle などのクラスの場合,指定できるサイズは 9pt,10pt,11pt,12pt,14pt,17pt,21pt,25pt,30pt,36pt,43pt, 12Q, 14Q, 10ptj, 10.5ptj, 11ptj, 12ptj になります。pt がつくものは欧文文字,Q や ptj がつくものは和文文字のサイズです。デフォルトは欧文 10pt,和文 13Q です。1Q は0.25mmを指します。article クラスの場合,指定できるサイズは 10pt,11pt,12pt になります。beamer クラスでは 8pt, 9pt, 10pt, 11pt, 12pt, 14pt, 17pt, 20pt になります。
また,jlreq クラスの場合は,
\usepackage[fontsize=10pt,jafontsize=10pt]{jlreq}
のようにします。fontsize が欧文のサイズで,jafontsize が和文です。小数点を含めて,任意の値を指定可能です。
なお,全体の文字サイズを変えると,\normalsize のフォントサイズが変わることに注意しましょう。



