別行立て数式は,デフォルトでは中央揃えです。これを左寄せ・左揃えにしたいこともあるでしょう。これについて,全ての数式を左寄せにする方法と,部分的に左寄せにする方法に分けて解説しましょう。
本記事では,amsmath
パッケージの使用は仮定します。
【LaTeX】全ての数式を左寄せにする方法
全ての数式環境を左寄せにする方法は,ドキュメントクラスを指定する際に
\documentclass[fleqn]{article}
のように,fleqn
オプションをつけるとよいです。このとき,プリアンブルに
\setlength{\mathindent}{0pt}
などとかくことで,左からどの位置に置くかを指定することができます。
【LaTeX】一部の数式を左寄せにする方法
上のコマンドでは,全ての数式が左寄せになります。そうではなく,一部のみを左寄せにする方法も紹介します。
1つの別行立て数式を左寄せにする方法
全てではなく,1つの別行立て数式を左寄せにしたいだけであれば,
\begin{align}
&a+b=c \\
&d=e
\end{align}
\begin{align*}&a+b=c\\ &d=e \end{align*}
のように,align
環境を用いて左側に &
をつけるのが最も簡単です。ただし,これは全体の塊としては中央揃えで,左からの位置は数式の長さに依存します(上の数式は左揃えですが,全体としては中央にかかれているのを確認してください)。これが嫌であれば,例えば flalign
環境を用いて,
\begin{flalign}
&a+b=c &\\
&d=e &
\end{flalign}
とすれば,全体の塊も,中身も左揃えになります。全体の塊のみ左揃えにしたい場合は,
\begin{flalign}
a+b&=c &\\
d&=e &
\end{flalign}
といった,&
のつけ方をすればよいでしょう。
nccmath
パッケージを用いれば,\begin{fleqn}[左のマージン] ... \end{fleqn}
というコマンドもあります。これは,
\begin{fleqn}[10pt]
\begin{align}
&a+b=c \\
&d=e
\end{align}
\end{fleqn}
のような使い方をすることで,中で用いた環境を,左から一定の位置に置くことが可能です。
1行目のみを少し左に寄せる(2行目以降を段落下げする)方法
\begin{align*} & \hspace{-30pt}\boxed{\text{ \hspace{30pt}Long first line}\hspace{30pt}}\\ & = \boxed{\text{\hspace{10pt}2nd line}\hspace{10pt}}\\ & \leq \dots \end{align*}のように,一行目のみを左寄せにしたい場合,たとえば1行目に \hspace{-10pt}
とかいたり,2行目以降の全ての行に \quad
などとかいて,スペースを入れる方法があるでしょう(→【LaTeX】水平方向の空白(スペース)のコマンド11個)。
他にも,mathtools
パッケージを用いて,\MoveEqLeft[<number>]
とかけば,1行目のみ左寄せにすることが可能です。これは,align
環境などで,1行目に,先頭の &
の代わりにかくものです。たとえば,
\begin{align}
\MoveEqLeft \framebox[10cm][c]{Long first line}\\
& = \framebox[6cm][c]{2nd line}\\
& \leq \dots
\end{align}
のようにします。<number>
は大きくすればするほど,先頭が左に行きます。
なお,
\begin{align*} & \boxed{\text{ \hspace{30pt}1st line}\hspace{30pt}}\\ ={}& \boxed{\text{\hspace{30pt}2nd line}\hspace{30pt}}\\ & + \dots \end{align*}
のように,= を少し左にしたい場合は,
\begin{align}
& \framebox[10cm][c]{1st line} \\
={}& \framebox[10cm][c]{2nd line} \\
& +\dots
\end{align}
とします。=
の後ろの {}
は,=
を二項演算子と判断させ,適切なスペースを入れるためのものです。