数式内に日本語などの文字(テキスト)を入れる方法を解説します。
なお,amsmath
パッケージは読み込んでいるものとします。
【LaTeX】数式内に文字(テキスト)を入れるには
最初に注意ですが,数式モード内で単に difference
などとテキスト入力すれば difference のように,非常に汚くなってしまいます。 これは,文字の掛け算と認識されるからです。
そうではなく, \mathrm{difference} (ローマン体)や \mathit{difference} (イタリック体;斜体) のようにすべきでしょう。これを前提に,話を進めます。
- 数式内の一部に文字を入れる方法
- 数式内で改行して文字を入れる方法
の2つに分けて紹介します。
数式内の一部に文字を入れる方法
textコマンドで数式外と同じ文字を入れる
\text{}
コマンドを用いれば,本文中と同じ形式の文字を書くことが可能です。たとえば,
f(x) \ge 0 \quad\text{for $x\in\mathbb{R}$.}
f(x) \ge 0 \quad\text{for } x\in \mathbb{R}.
のようにできます。日本語も可能です。上の例の通り,\text{}
内部でさらに数式モードにして,数式をかくこともできます。
ここで,本文中と同じ形式というところがポイントで,たとえば,定理環境の中で,全体が斜体になっているときは,\text{}
で書いた文字も斜体になります。
amsmath
パッケージを読み込んでいない場合は,\text{}
は使えませんので,代わりに \mbox{}
を用いてください。使い方は同じですが,\text
は添え字で使うと自動でサイズ調整してくれるなど,使い勝手が良いので,\text
が使えるのであればこちらを使う方が良いです。
mathrm, mathitなどで数式に付随する文字を入れる
上で紹介した \text{}
コマンドは,本文中と同じ形式ということがポイントでした。そうではなく,たとえば,定理環境等にも依らず常にローマン体で \color{red}M_{\mathrm{max}} のように書きたいときは,\mathrm{}
コマンドを使って, M_{\mathrm{max}}
のようにすればよいです。
同じく, \color{red} M_{\mathit{max}} のように常にイタリック体(斜体)にしたい場合は,\mathit{}
コマンドを用いて,M_{\mathit{max}}
のようにするとよいです。
文字ではなく演算子を入れたい場合
\sin, \cos, \log のように,単なる文字ではなく,演算子を入れたい場合は,\DeclareMathOperator
で演算子を定義してから用いるとよいです。これについては,以下で解説しています。
数式内で改行して文字を入れる方法
align, gather
といった,複数行の別行立て数式において,改行して文字を途中挿入するには, \intertext
, \shortintertext
コマンドを用います。後者を用いたい場合,追加で mathtools
パッケージも必要です。\shortintertext
の方が,上下のスペースが小さくなります。
以下で使い方を確認しておきましょう。
\begin{align}
f(x)&= {(x+y)}^3 \\
&= x^3+3x^y+3xy^2+y^3
\intertext{ここで,$x$は常に$0$であったから,}
&= y^3.
\end{align}
\begin{align}
f(x)&= {(x+y)}^3 \\
&= x^3+3x^y+3xy^2+y^3
\shortintertext{ここで,$x$は常に$0$であったから,}
&= y^3.
\end{align}
テキストの前後でも,ちゃんと位置合わせ出来ていますね。