Frullani 積分 (Frullani integral) について,その主張を紹介し,証明します。
Frullani integralの主張
定理(Frullani’s integral)
f:[0,∞)→R を C1 級関数(すなわち微分可能で導関数が連続)とし,さらに f(∞)=limx→∞f(x) が収束するとする。
このとき,0<a<b に対し,
∫0∞xf(bx)−f(ax)dx=(f(∞)−f(0))logab
が成立する。
C1 級関数の意味について,もし分からない場合は,C1級,Cn級,C∞級関数の定義と具体例5つを参照してください。
早速証明しましょう。
Frullani integralの証明
証明
c>0 とする。
∫0cxf(bx)−f(ax)dx=∫0c∫abf′(tx)dtdx.
フビニの定理より,積分の順序を交換して,
∫0c∫abf′(tx)dtdx=∫ab∫0cf′(tx)dxdt=∫ab[tf(tx)]x=0cdt=∫abtf(tc)−f(0)dt.
f は [0,∞) 上有界であるから,∣f(x)∣<M(0≤x<∞) となる M>0 を取る。すると,∣(f(tc)−f(0))/t∣≤2M/t であり,右辺は [a,b] 上可積分であるから,ルベーグの収束定理より,
∫0∞xf(bx)−f(ax)dx=c→∞lim∫abtf(tc)−f(0)dt=∫abtf(∞)−f(0)dt=(f(∞)−f(0))[logt]ab=(f(∞)−f(0))logab.
よって,
∫0∞xf(bx)−f(ax)dx=(f(∞)−f(0))logab
である。
証明終
証明できましたね。フビニの定理を使う際に,積分の絶対収束性が要るのですが,そこで f′ の連続性を用いて,有界領域内で重積分が絶対収束するようにしています。
Frullani integralの例
一つだけ例を挙げましょう。
例
0<a<b に対し,
∫0∞xe−bx−e−axdx=logab.