\LaTeX における,積分・重積分・周回積分のコマンドと,そのテクニックをまとめて紹介します。
なお,amsmath
パッケージの使用は仮定しています。
【LaTeX】積分,重積分,周回積分のコマンド
基本的な積分のコマンド8つ
まずは,基本的な積分のコマンドを列挙しましょう。
ディスプレイスタイル | テキストスタイル | コマンド | 意味 |
---|---|---|---|
\displaystyle \int | \int | \int | 積分 |
\displaystyle \iint | \iint | \iint | 2重積分 |
\displaystyle \iiint | \iiint | \iiint | 3重積分 |
\displaystyle \iiint\!\!\!\!\int | \iiint\!\!\!\int | \iiiint | 4重積分 |
\displaystyle \oint | \oint | \oint | 周回積分 |
\displaystyle \smallint | \smallint | \smallint | 小さな積分 |
\displaystyle \int\dotsi\int | \int\dotsi\int | \idotsint | 多重積分 |
\displaystyle \int\dotsi | \int\dotsi | \int\dotsi | 多重積分 |
ディスプレイスタイルとテキストスタイルで,積分の大きさが変わります(\smallint
を除く)。
\dotsi
は積分向けのドット(3点リーダー)記号です。→ 【LaTeX】ドット・3点ドット記号11個一覧とその使い分け
なお,フォントによっては,\displaystyle \oiint, \oiiint (\oiint, \oiiint
) というコマンドも使えるかもしれません。
【LaTeX】積分,重積分,周回積分のコマンドのテクニック
ここからは,積分に関するさまざまなテクニックを紹介しましょう。
積分の添え字とそのテクニック
\displaystyle \int_a^b のように「添え字」をつけたいときは,\int_a^b
のようにします。これは,\int^b_a
のように,上の添え字からかくことも可能です。もっと例を挙げましょう。
ディスプレイスタイル | テキストスタイル | コマンド |
---|---|---|
\displaystyle \int_0^\infty | \int_0^\infty | \int_0^\infty |
\displaystyle \int_{\mathbb{R}} | \int_{\mathbb{R}} | \int_{\mathbb{R}} |
\displaystyle \iint_{A_1} | \iint_{A_1} | \iint_{A_1} |
\displaystyle \oint_C | \oint_C | \oint_C |
\displaystyle \int_{x_1}^{y_1}\int_{x_2}^{y_2}\dotsi | \int_{x_1}^{y_1}\int_{x_2}^{y_2}\dotsi | \int_{x_1}^{y_1}\int_{x_2}^{y_2}\dotsi |
\displaystyle \int\limits_0^\infty | \int\limits_0^\infty | \int\limits_0^\infty |
\displaystyle \iiint\limits_{A_1} | \iiint\limits_{A_1} | \iiint\limits_{A_1} |
添え字を \displaystyle \int_a^b ではなく, \displaystyle \int\limits_a^b のように上下につけるには,\limits
コマンドを付与します。
dxのかき方とテクニック
まずは以下を見てください。出力はディスプレイスタイルに限ることにしましょう。
出力 | コマンド | physicsパッケージ |
---|---|---|
\displaystyle \int_a^b f(x)dx | \int_a^b f(x)dx | |
\displaystyle \int_a^b f(x)\,dx | \int_a^b f(x)\,dx | |
\displaystyle \int_a^b f(x)\mathrm{d}x | \int_a^b f(x)\mathrm{d}x | \int_a^b f(x)\dd x |
\displaystyle \int_a^b f(x)\,\mathrm{d}x | \int_a^b f(x)\,\mathrm{d}x | \int_a^b f(x)\dd{x} |
4つの違いは,f(x)とdxの間に隙間があるか,そして,dがイタリック体の d かローマン体の \mathrm{d} かの違いです。スペースを入れるには,\,
を用い(【LaTeX】水平方向の空白(スペース)のコマンド11個),dをローマン体にするには \mathrm
を用いるとよいでしょう。
この辺は好みの分かれるところですから,好きなものを使うと良いと思います。physicsパッケージを使った場合,より簡単にかけるので,それも記しておきました。
なお,physicsパッケージを \usepackage[italicdiff]{physics}
のように読み込んだ場合は,同様のコマンドで,dが d のようにイタリック体になります。
重積分の例も同様に挙げておきましょう。
出力 | コマンド | physicsパッケージ |
---|---|---|
\displaystyle \iint f(x,y) dxdy | \iint f(x,y)dxdy | |
\displaystyle \iint f(x,y)\, dxdy | \iint f(x,y)\,dxdy | |
\displaystyle \iint f(x,y) \, dx\, dy | \iint f(x,y)\,dx\,dy | |
\displaystyle \iint f(x,y)\mathrm{d}x\mathrm{d}y | \iint f(x,y)\mathrm{d}x\mathrm{d}y | \iint f(x,y)\dd x\dd y |
\displaystyle \iint f(x,y)\,\mathrm{d}x\mathrm{d}y | \iint f(x,y)\,\mathrm{d}x\mathrm{d}y | |
\displaystyle \iint f(x,y)\,\mathrm{d}x\,\mathrm{d}y | \iint f(x,y)\,\mathrm{d}x\,\mathrm{d}y | \iint f(x,y)\dd{x}\dd{y} |
\displaystyle \int\dots\int f(x_1, \dots, x_n) dx_1\dots dx_n | \idotsint f(x_1,\dots, x_n) dx_1\dots dx_n | |
\displaystyle \int\dots\int f(x_1, \dots, x_n)\,dx_1\dots dx_n | \idotsint f(x_1, \dots, x_n)\,dx_1\dots dx_n | |
\displaystyle \int\dots\int f(x_1, \dots, x_n)\mathrm{d}x_1\dots \mathrm{d}x_n | \idotsint f(x_1, \dots, x_n)\mathrm{d}x_1\dots \mathrm{d}x_n | |
\displaystyle \int\dots\int f(x_1, \dots, x_n)\,\mathrm{d}x_1\dots \mathrm{d}x_n | \idotsint f(x_1, \dots, x_n)\,\mathrm{d}x_1\dots \mathrm{d}x_n |
esintパッケージでさらに多くの積分記号を
\usepackage{esint}
とすることで,さらにさまざまな積分記号をかくことができます。ams系のパッケージの後に読み込むようにしてください。
\idotsint
などは,もとの amsmath
パッケージで定義されたものを上書きすることになります。
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