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【LaTeX】BibTeXにおけるbibファイルのかき方

LaTeX
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BibTeXにおけるbibファイルのかき方について説明しましょう。

まず第一に多くの場合,bibファイルにおけるデータベースは一から作る必要はなく,Google Scholar 等が提供している BibTeX 情報を引っ張ってきてコピペして用いればよいです。数学科の学生なら MathSciNet を使いましょう。

これ故に,以下のような細かいことまで知らなくても良い場合が多いです。コピペしたものをカスタマイズしたいときに用いるとよいでしょう。

bibファイルのかき方

さて,BibTeXにおけるbibファイルのかき方を例を含めて説明しましょう。

bibファイルのかき方の例

@book{Lang:alg,
  author    = {Lang, Serge},
  title     = {Algebra},
  series    = {Graduate Texts in Mathematics},
  volume    = {211},
  edition   = {Third},
  publisher = {Springer-Verlag, New York},
  year      = {2002},
}
@article{Rin:Diff,
  author   = {Rinehart, George S.},
  title    = {Differential forms on general commutative algebras},
  journal  = {Trans. Amer. Math. Soc.},
  fjournal = {Transactions of the American Mathematical Society},
  volume   = {108},
  year     = {1963},
  pages    = {195--222},
}

@book{}@article{} というのが一つ一つの文献の単位です。この中に,著者名やタイトル,出版年などの情報が書き込まれています。

各フィールドは例えば,author={著者名} のようになっていますが,author="著者名" とするやり方もあります。どちらでも構いません。

= の位置は見やすいようにそろえてありますが,別にそろえなくて構いません。

データベースのエントリ

@ 以下でかける文献の種類は以下です。例えば,@article はすべて大文字で @ARTICLE とかいても同じです。

必須項目は書かねばならないものであり,任意項目は書かなくても良いが,書けば出力されるものです。必須項目・任意項目以外の項目は書いても良いですが,plainabbrv などの有名なスタイル(\bibliographystyle)では出力されません。

項目説明必須項目任意項目
@article論文誌における論文author, title, journal, yearvolume, number, pages, month, note
@bookauthor または editor, title, publisher, yearnumber, series, address, edition, month, note
@booklet出版社あるいは出版者のない本titleauthor, howpublished, address, month, year, note
@conference@inproceedings と同じ。互換性のためにあるauthor, title, booktitle, yeareditor, volume または number, series, pages, address, month, organization, publisher, note
@inbook本の一部author または editor, title, chapter または pages, publisher, yearvolume または number, series, type, address, edition, month, note
@incollection本の一部で,それ自身表題を持つものauthor, title, booktitle, publisher, yeareditor, volume または number, series, type, chapter, pages, address, edition, month, note
@inproceedings学術会議録の一部author, title, booktitle, yeareditor, volume または number, series, pages, address, month, organization, publisher, note
@manualマニュアルtitleauthor, organization, address, edition, month, year, note
@masterthesis修士論文author, title, school, yeartype, address, month, note
@miscその他なしauthor, title, howpublished, month, year, note.
@phdthesis博士論文author, title, school, yeartype, address, month, note
@proceedings学術会議録title, yeareditor, volume または number, series, address, month, organization, publisher, note
@techreportテクニカルサポートauthor, title, institution, yeartype, number, address, month, note
@unpublished正式には出版されていない著作物author, title, notemonth, year
@commentコメント。ここにかいたことは無視される。実際は @ナントカ{} 内以外はすべてコメントとして扱われるが,互換性のため。
@preamble@preamble{} のなかにプリアンブルをかく。たとえば,
@preamble{ "\newcommand{\noopsort}[1]{} "
# "\newcommand{\singleletter}[1]{#1} " }
などとする(真ん中の # は文字列結合を表す)。

直前で,\noopsort というコマンドを定義しています。これは出力されないが,並び替えに用いるコマンドで,たとえば同じ著者だが出版年が違う書籍を並び替えるとき,普通は年が若い順に並びますが,year={{\noopsort{a}}1973}year={{\noopsort{b}}1971} とすれば,1973年のものが先に並ぶようになります。

フィールド

author={}, title={} などの各フィールドの種類と書き方について説明しましょう。

以下で例えば,author はすべて大文字で AUTHOR とかくのは同じことです。

項目説明
addresspublisher などの住所を書く。大きな出版社のときは書かなくて良い。
annote注釈。標準のスタイルでは使われない。
author著者名。書き方は author={Yamashita, Taro and Oda, Hanako} のように,「姓, 名」または「名 姓」の順にかき,複数人を列挙するときは and で区切る。ミドルネームがあるときは,「Last, First Middle」の形にする。多いときは最後に and others と書いておけば英語なら「et. al.」に,日本語なら「ほか」に変換される。アクセント記号付きの文字を書きたい場合は author={G{\"o}del, Kurt} のように {} で囲う。
booktitle文献がほんの一部であるときの本の名前のこと。本(@book)の場合は title を使う。
chapter章や節の番号
crossrefある文献AがBの一部のとき,Aの crossref にBのラベル名を書く。AをBより前に書かねばならない。
edition本の版。英語なら Second のように順序数で,最初を大文字にしてかくこと。日本語なら 2 のように数字でかくか,漢数字でかく。
editor編集者名。書き方は author と同じ。
howpublishedどのようにして出版されたか。通常の出版過程と異なる場合に記述する。英文では,最初の文字は大文字にせねばならない。
institutionテクニカルサポートにおける出版主
journalジャーナル名。
key著者名がないとき,これが並び替え(ソート)に使われる。
month出版月。未出版であれば書かれた月。日も含めたいときは month={May~13} などとする。
note付加的に出力したい情報を記述する。英語の場合は必ず最初の文字を大文字にする。
numberシリーズものの書籍などで第何号か
organization会議の開催組織または manual を出版した機関の名称。
pagesページ数あるいはページ範囲。pages={420}pages={xviii+260} や pages={5--20} などする。真ん中の例は本文の260ページ以外にxviiiページあることを指す。
publisher出版社名。
school修士論文・博士論文が出された大学名。
series一連の書物のシリーズ名。
titleタイトル名。title={Notes on {A}belian group} のように,1文字目以外で必ず大文字にしたい文字は {} で囲う。
typeテクニカルレポートの種類。例えば “Research Note”
volume論文誌あるいは複数巻の本において,第何巻かを表す。
year出版年。year={about 2003} みたいな書き方もできるが,最後4文字は必ず4つの数字でなければならない。
yomiauthor の読み方。日本語(jBibTeX)のみで意味を持つ。これで文献の並び替えをする。ひらがなで書いておけば50音順になり,ローマ字で書けばアルファベット順に並ぶ。

他にも,参考文献の出力スタイル(\bibliographystyle)によっては,url, doi, isbn, abstract といった情報をかいておくことで,それが出力されるようになっているものもあります(単にメモとして記入しておくこともできます)。数学系なら,mrnumber を書いておき,\bibliographystyle{amsplain} とすれば,各参考文献にMR番号が付加されます。

フィールド名はあまり厳密に考えなくて良いです。複雑な形式のもの,出力しておくべきのものは note にかいておけばちゃんと出力されます。

関連する記事

参考

  1. 奥村晴彦, 黒木裕介「LaTeX 美文書作成入門」(技術評論社, 第9版, 2023)
  2. BibTeXing: BibTeXの使い方