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列ベクトルと行ベクトルの定義と違い

線形代数学
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\overrightarrow{a}=\begin{pmatrix} 2\\ 3\end{pmatrix} のように数を縦に複数個並べたものを「列ベクトル」, \overrightarrow{a}=(2,3) のように数を横に並べたものを「行ベクトル」といいます。

列ベクトルと行ベクトルについて,その定義と基本的な違いを解説しましょう。

列ベクトルと行ベクトル

定義(列ベクトル・行ベクトル)

n 個の数 a_1,a_2,\dots, a_n を縦に並べた

\large \color{red} \overrightarrow{a}= \begin{pmatrix} a_1\\a_2\\ \vdots \\ a_n \end{pmatrix}


n 次元列ベクトルといい,横に並べた

\large \color{red} \overrightarrow{a}=(a_1,a_2,\dots, a_n)


n 次元行ベクトルという。

列ベクトルと行ベクトル

たとえば, \begin{pmatrix} 2\\ 3\end{pmatrix} \begin{pmatrix} 2 \\ -3\\ 1\end{pmatrix} はどちらも列ベクトルであり, (1,5) (0, -2, 3) は行ベクトルです。

なお,高校まではベクトルは矢印をつけて表すことが多いですが,大学では \boldsymbol{a} のように太字で表したり,文脈上明らかなときは単に a とかくこともあります。

列ベクトルと行ベクトルの違い

たとえば高校生が,幾何的な向きと大きさを表すのにベクトルを使うのであれば,列ベクトルと行ベクトルの違いはないと言っていいでしょう。どちらを用いても構いません。(ただし,列ベクトルと行ベクトルを混ぜないでください。)

列ベクトルと行ベクトルの違いが出るのは,それを行列として捉えるときです。

列ベクトル \overrightarrow{a}= \begin{pmatrix} a_1\\a_2\\ \vdots \\ a_n \end{pmatrix} は, n\times 1 行列と見ることが可能で,行ベクトル \overrightarrow{a}=(a_1,a_2,\dots, a_n) 1\times n 行列と見ることができます。( \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & \dots & a_{1n} \\ a_{21} & a_{22} & \dots & a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} & a_{m2} & \dots & a_{mn} \end{pmatrix} m\times n 行列です)

行列とベクトルの演算は,行列同士の演算と考えて演算を行います。この際,特に積の演算では,行列に列ベクトルをかけるか行ベクトルをかけるかによって,異なる意味を持ちます。
たとえば, n\times n 行列 A に対し, A\overrightarrow{x} は,

  1. \overrightarrow{x} n 次元列ベクトルなら A\overrightarrow{x} n 次元列ベクトル
  2. \overrightarrow{x} n 次元行ベクトルなら A\overrightarrow{x} は計算不能

となり,そもそも話が変わってきます。 また,2.の場合, \overrightarrow{x}A は計算でき, n 次元行ベクトルになりますが,計算結果は1.の列ベクトルを「横にしたもの」とは異なります。この文脈では,列ベクトルの方がよく用いられますね。

数ベクトル

列ベクトル・行ベクトルはどちらも数を並べた「数ベクトル」で,表し方が違うだけです。

数ベクトルの基本については,以下でまとめています。

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