\LaTeX における,左寄せ(左揃え)・中央揃え・右寄せ(右揃え)のコマンドを,テキストにおけるものと数式におけるものを紹介します。
テキストを左寄せ・中央揃え・右寄せするには
まず基本的なものを紹介し,左寄せ・右寄せ混在のものや英文の際の発展的なことも紹介しましょう。
左寄せ・中央揃え・右寄せにする基本的な環境・コマンド
LaTeXにおいては,何も指定しないと両端揃えになります。これを,左寄せ・中央揃え・右寄せにするには,以下の環境またはコマンドを使うのが基本です。
環境 | コマンド | 寄せ |
---|---|---|
\begin{flushleft} ~ \end{flushleft} | \raggedright | 左寄せ |
\begin{center} ~ \end{center} | \centering | 中央揃え |
\begin{flushright} ~ \end{flushright} | \raggedleft | 右寄せ |
他に,1行を左寄せ・中央揃え・右寄せにするコマンドとして,\leftline{}, \centerline{}, \rightline{}
がありますが,現在は非推奨とされています。
raggedright は「右側がガタガタ」という意味ですので,左揃えになります。基本は環境を使い,別の環境の中全体で使いたい場合などは,コマンドを使うとよいです。
たとえば,
としたい場合は,環境を用いて
\begin{flushleft}
左寄せ
\end{flushleft}
\begin{center}
中央揃え
\end{center}
\begin{flushright}
右寄せ
\end{flushright}
とし,figure
環境内にある図や,table
環境内にあるテーブルを中央揃えしたい場合は,コマンドを用いて
\begin{figure}
\centering
~
\end{figure}
などとします。環境の方は,上下に少しスペースが入ることがあります。デフォルトで article, jsarticle
クラスなどはスペースが入りますが,jlreq
クラスは入りません。必要ならば \vspace{0.5\baselineskip}
等を用いて上下にスペースを入れるとよいです(→【LaTeX】垂直方向の空白(スペース)vspace,vfill)。
同じ行に左寄せと右寄せを混在させるには
同じ行に左寄せと右寄せを混在させたい場合は
左寄せ\hfill 右寄せ
とすればよいです(→【LaTeX】水平方向の空白(スペース)のコマンド11個)。
英文におけるハイフネーション可能な左寄せ・中央揃え・右寄せ
英語の文章において,左寄せ・中央揃え・右寄せにすると,ハイフネーション(行末の単語をハイフンで分割すること)が効かなくなってしまう問題があります。これを改良したのが,ragged2e
パッケージです。プリアンプルに
\usepackage{ragged2e}
とかけば使えます。そして,以下のコマンドを用います。大文字になっていることに注意してください。
環境 | コマンド | 寄せ |
---|---|---|
\begin{FlushLeft} ~ \end{FlushLeft} | \RaggedRight | 左寄せ |
\begin{Center} ~ \end{Center} | \Centering | 中央揃え |
\begin{FlushRight} ~ \end{FlushRight} | \RaggedLeft | 右寄せ |
あるいは,
\usepackage[document]{ragged2e}
とかけば,何も書かなくても全ての文章が左寄せになります。以下を見てください。
ragged2e
パッケージは,ちゃんとハイフネーションがされていますね。
数式を左寄せ・中央揃え・右寄せするには
別行立て数式を左寄せ・中央揃え・右寄せにするコマンドを紹介します。別行立て数式においては,全体として中央揃えだが一つ一つは左寄せなど,「全体として」と「一つ一つ」を考えねばなりません。例を見ればわかるでしょう。amsmath
パッケージは読み込んでいるものとします。
一つの数式を左寄せ・中央揃え・右寄せにする
環境 | 全体 | 一つ一つ | 出力例(式番号省略) |
---|---|---|---|
\begin{gather} | 中央揃え | 中央揃え | \begin{gathered} a=x+y+z \\ b+c=w\end{gathered} |
\begin{align} | 中央揃え | 左寄せ | \begin{aligned} &a=x+y+z \\ & b+c=w\end{aligned} |
\begin{align} | 中央揃え | 右寄せ | \begin{aligned} a=x+y+z \\ b+c=w\end{aligned} |
\begin{flalign} | 左寄せ | 左寄せ | \begin{aligned} &a=x+y+z \\ &b+c=w\end{aligned} |
\begin{flalign} | 右寄せ | 右寄せ | \hspace{60pt}\begin{aligned} a=x+y+z &\\ b+c=w&\end{aligned} |
全体が中央揃えで一つ一つが左寄せ・右寄せのものは,align
環境を応用すればよいです。
少々難しいですが,flalign
環境は以下のように,等号の位置を揃えながら,数式を同じ行に左寄せ・右寄せを混在することも可能です。
\begin{flalign}
a_1 &= c_1 & a_2+b_2 &= c_2 \\
a_3 &= c_3 & a_4 &= c_4+d_4
\end{flalign}
1, 3番目の &
はイコールをそろえるために,2番目の &
は左右を分けるために使います。詳しくは,以下の記事も参照してください。
数式を左寄せする方法をもっと詳しく
一つの数式を左寄せにする方法は上でも解説しましたが,左寄せだが少しだけ左を空けるやり方や,全ての数式を左寄せに一括で設定する方法などは,以下で詳しく解説しています。