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C1級,Cn級,C∞級関数の定義と具体例5つ

微分積分学(大学)
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C^1 級関数や C^n 級関数, C^\infty 級関数の定義とその具体例について紹介します。

C1級,Cn級,C∞級関数の定義(一変数版)

まずは C^1, C^n , C^\infty 級関数の定義を紹介しましょう。

C1級関数の定義

定義(C^1

f\colon \mathbb{R} \to \mathbb{R} C^1 (class C^1 ) または連続微分可能 (continuously differentiable) であるとは,

  • f が微分可能
  • 導関数 f^{\prime} が連続

の両方が成立することをいう。

また,このような関数全体の集合を C^1(\mathbb{R}) と書くことがある。

微分可能 \Longrightarrow 連続 なので, f, f^{\prime} の両方が連続になります。

Cn級関数の定義

定義(C^n

f\colon \mathbb{R} \to \mathbb{R} C^n (class C^n ) または n 階連続微分可能 (n times continuously differentiable) であるとは,

  • f が微分可能
  • n 階導関数 f^{(n)} が連続

の両方が成立することをいう。

また,このような関数全体の集合を C^n(\mathbb{R}) と書くことがある。

微分可能 \Longrightarrow 連続 なので, f, f^{\prime},\ldots,f^{(n)} の全てが連続になります。

C∞級関数の定義

定義(C^\infty

f\colon \mathbb{R} \to \mathbb{R} C^\infty (class C^\infty ) または 無限回微分可能 (infinitely differentiable) であるとは,

  • f が何回でも微分できる

ことをいう。

また,このような関数全体の集合を C^\infty(\mathbb{R}) と書くことがある。

微分可能 \Longrightarrow 連続 なので, f, f^{\prime},\ldots,f^{(n)},\ldots の全てが連続になります。

このとき,以下が成立します。

命題

C^\infty \Rightarrow C^n \Rightarrow C^1 \Rightarrow 微分可能 \Rightarrow 連続

であり,すべてにおいて逆は成り立たない。集合を用いてかくと,

C^\infty(\mathbb{R}) \subsetneq C^n(\mathbb{R}) \subsetneq C^1(\mathbb{R}) \subsetneq 微分可能関数全体の集合 \subsetneq C(\mathbb{R})

である。ただし, C(\mathbb{R}) は連続関数全体の集合を指す。

ちなみに,単に連続な関数のことを, C^0 級関数ということがあります。

また,C^\infty 級よりもさらに強い概念として,解析的 (analytic) というのもあります。同じ意味で, C^\omega 級ということもあります。これは,テイラー展開・マクローリン展開とよばれる「べき級数展開」に関係するものです。これについては,以下の記事を参照してください。

C1級,Cn級,C∞級関数の具体例5個

典型的な具体例を述べましょう。

例1.(連続だが微分可能でない例)

\textcolor{red}{f(x) = |x| }

は連続だが微分可能でない。

原点で微分できませんね。

例2.(微分可能だが C^1 級でない例)

\textcolor{red}{f(x) = \begin{cases} x^2 \sin \frac{1}{x} & x \ne 0,\\ 0 & x = 0 \end{cases}}

は微分可能だが C^1 級でない。

実際,

f^{\prime} (x) = \begin{cases} 2x \sin \frac{1}{x} - \cos \frac{1}{x} & x \ne 0,\\ 0 & x = 0\end{cases}

であるから, f^{\prime} は原点で連続になりません。

例3.( C^1 級だが,C^2 級でない例)

\textcolor{red}{f(x) = x|x| }

C^1 級だが,f^{\prime} は微分可能でない。

実際,

f^{\prime}(x) = |x|

になるため,これは原点で微分できません。

例4.( C^{n} 級だが,C^{n+1} 級でない例)

n \ge 1 とする。

\textcolor{red}{f(x) = \begin{cases} x^{n+1} & x \ge 0, \\ - x^{n+1} & x < 0 \end{cases}}

とおくと,これは C^{n} 級だが,f^{(n)} は微分可能でない。

実際,

f^{(n)} (x) = (n+1)! \, |x|

となるため,これは原点で微分不可能です。

例5.( C^\infty 級関数の例)

\textcolor{red}{ \begin{aligned} f_1(x) &= e^x \\ f_2(x) &= \sin x\\ f_3(x) &= 1 \\ f_4(x) &= \frac{1}{1+x^2} \end{aligned} }

などは全て C^\infty 級関数である。

ほぼ明らかでしょう。

多変数の場合のC1級,Cn級,C∞級関数

最後に d 次元空間 \mathbb{R^d} 上での定義を述べましょう。

定義(C^1 多変数版)

f\colon \mathbb{R^d} \to \mathbb{R} C^1 (class C^1 ) であるとは,

  • f 1 階のあらゆる偏導関数 f_{x_1}, \ldots ,f_{x_d}  をもつ
  • それらがすべて連続

の両方が成立することをいう。

また,このような関数全体の集合を C^1(\mathbb{R^d}) と書くことがある。

定義(C^n 多変数版)

f\colon \mathbb{R^d} \to \mathbb{R} C^n (class C^n ) であるとは,

  • f n 階のあらゆる偏導関数をもつ
  • それらがすべて連続

の両方が成立することをいう。

また,このような関数全体の集合を C^n(\mathbb{R^d}) と書くことがある。

このとき, n 回までの偏微分は微分の順序によらないことが証明できます(シュワルツの定理)。

定義(C^\infty 多変数版)

f\colon \mathbb{R^d} \to \mathbb{R} C^\infty (class C^\infty ) であるとは,

  • f が無限回偏微分可能

であることをいう。

また,このような関数全体の集合を C^\infty(\mathbb{R^d}) と書くことがある。

おわりに

よく出てくる用語ですから,しっかりとおさえておきましょう。

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