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群の生成とは～定義と具体例～

2021.10.27
群・環・体
用語・記号の定義大学専門
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群の部分集合によって生成される部分群について，その定義と関連する話題を述べます。

群の生成

定義（群の生成）

G G を群，S⊂G S\subset G をその部分集合とする。s1,s2,…,sn∈S s_1,s_2,\dots, s_n \in S (同じものがあってもよい) と整数 a1,a2,…,an a_1, a_2,\dots, a_n に対して，

s1±a1s2±a2…sn±an \color{red} s_1^{\pm a_1} s_2^{\pm a_2} \dots s_n^{\pm a_n}


の形にかける元全体の集合は G G の部分群になる。これを，集合 S S で生成される部分群 (subgroup generated by S S ) といい，⟨S⟩\color{red} \langle S\rangle とかく。このとき，S S を生成系 (generating set)，S S の元を生成元 (generator) という。

群の生成

なお，⟨S⟩=G \langle S\rangle = G となるとき，S S を G G の生成系といいます。

s1±a1s2±a2…sn±an s_1^{\pm a_1} s_2^{\pm a_2} \dots s_n^{\pm a_n} の n n は，有限値であれば自由に動いて構いません。

部分群であることを確認しましょう。x,y∈⟨S⟩  ⟹  xy−1∈⟨S⟩ x,y\in \langle S\rangle \implies xy^{-1}\in \langle S\rangle を示せばよいです(→部分群の定義と判定方法～例4つと性質～)。

x,y∈⟨S⟩ x,y\in \langle S\rangle とすると，x=s11a11…s1ma1m,  y=s21a21…s2na2n x = s_{11}^{a_{11}}\dots s_{1m}^{a_{1m}} ,\; y = s_{21}^{a_{21}}\dots s_{2n}^{a_{2n}} と表せます。このとき，

xy−1=s11a11…s1ma1m(s21a21…s2na2n)−1=s11a11…s1ma1ms2n−a2n…s21−a21∈⟨S⟩ \begin{aligned}xy^{-1} &= s_{11}^{a_{11}}\dots s_{1m}^{a_{1m}} ( s_{21}^{a_{21}}\dots s_{2n}^{a_{2n}} )^{-1}\\ &= s_{11}^{a_{11}}\dots s_{1m}^{a_{1m}} s_{2n}^{-a_{2n}}\dots s_{21}^{-a_{21}} \in \langle S\rangle \end{aligned}


ですね。よって ⟨S⟩ \langle S\rangle は部分群です。

群の生成の具体例

S={s1,s2,…,sn} S = \{s_1, s_2, \dots, s_n\} のとき，⟨{s1,s2,…,sn}⟩\langle \{s_1, s_2, \dots, s_n \} \rangle は単に ⟨s1,s2,…,sn⟩\color{red} \langle s_1,s_2,\dots, s_n\rangle とかきます。これを踏まえて，具体例を挙げましょう。

例1.

和(加法)に関する群 Z \mathbb{Z} の部分群について，

  1. ⟨1⟩=Z\langle 1 \rangle = \mathbb{Z}
  2. ⟨3⟩=3Z\langle 3 \rangle=3\mathbb{Z}
  3. ⟨2,3⟩=Z\langle 2, 3 \rangle= \mathbb{Z}

3.については，3−2=1 3-2=1 が作れるので，1.と同じことになります。

例2.

積(乗法)に関する群 R∖{0} \mathbb{R}\setminus \{0\} の部分群について，

  1. ⟨1⟩={1}\langle 1 \rangle = \{1\}
  2. ⟨−1⟩={±1}\langle -1 \rangle =\{\pm 1\}
  3. ⟨2⟩={2n∣n∈Z}\langle 2 \rangle = \{2^n \mid n\in\mathbb{Z}\}
  4. ⟨Z∖{0}⟩=Q∖{0}\langle \mathbb{Z}\setminus \{0\} \rangle = \mathbb{Q}\setminus \{0\}

ちょっと難易度を上げましょう。

例3.

対称群 Sn  (n≥3) S_n \; (n\ge 3) の部分群について，

  1. ⟨(12)⟩={1,(12)}\langle (12) \rangle = \{1, (12)\}
  2. ⟨(123)⟩={1,(123),(132)} \langle (123) \rangle = \{1,(123), (132)\}

1 1 は恒等写像を指すこととします。

例4.

実数係数多項式全体の集合 R[x] \mathbb{R}[x] を和(加法)に関する群と見たとき，その部分群について

  1. ⟨1⟩=Z\langle 1 \rangle = \mathbb{Z}
  2. ⟨R,x⟩={nx+r∣n∈Z, r∈R}\langle \mathbb{R}, x \rangle = \{ nx+r \mid n\in\mathbb{Z},\, r\in\mathbb{R}\}
  3. ⟨R,Rx,Rx2,… ⟩=R[x]\langle \mathbb{R}, \mathbb{R}x, \mathbb{R}x^2 , \dots \rangle = \mathbb{R}[x]

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