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零環(自明な環)とは~0=1をみたす唯一の環であることの証明~

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零環(自明な環)とは,たった一つの元しか持たない環のことを言います。これについて,その定義と,零環(自明な環)が 0=1 をみたす唯一の環であることの証明をしましょう。

零環(自明な環)とは

定義(零環)

R=\{0\} に対し,和と積の演算

\color{red} \begin{aligned}0+0&=0,\\ 0\times 0 &=0\end{aligned}


を定めると,これは環の定義をみたす。これを零環 (the zero ring) または自明な環 (trivial ring) という。

0 しか元がない非常に単純な環のことですね。

零環は0=1をみたす唯一の環

0=1の画像

0=1 というとトンデモっぽいですが,ここでいう 0 は加法の単位元で, 1 は乗法の単位元を指します。

定理(零環は 0=1 をみたす唯一の環)

R を環とし,加法単位元 0 と乗法単位元 1 が一致しているとする。このとき, R は零環である。

証明

a\in R とする。すると,

a=1a=0a=0


である(最後の等式は環の定義・可換環の定義とその具体例5つで解説している)。よって R は零環である。

証明終

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