孤立特異点のうち,実は特異点ではないとみることができる「除去可能特異点」について,どういうときにその特異点が除去可能であるかというのを述べたのがリーマンの除去可能特異点定理です。実は,有界性だけから除去可能性が従います。
リーマンの除去可能特異点定理について,その主張と証明を行いましょう。
孤立特異点の分類
まずは,孤立特異点の種類3つを復習しておきましょう。「孤立」とは,集積点ではなく,孤立点であるということで,その点の十分近い周りは「全て」正則関数の定義域に入っていることをいいます。
これを踏まえて,リーマンの除去可能特異点定理を述べましょう。
リーマンの除去可能特異点定理
リーマンの除去可能特異点定理 (Riemann’s theorem on removable singularities)
D\subset\mathbb{C} を開集合とし, a\in D とする。さらに f\colon D \setminus \{a\}\to \mathbb{C} を正則関数とする。このとき,以下の条件は互いに同値である。
有界性が言えるだけで,単に連続でなく正則関数として拡張できるというのは強力ですね。
1.\implies 2. \implies 3.\implies 4.は明らかですから,4. \implies 1.を示しましょう。べき級数を用います。少々テクニカルです。
4.\implies 1.の証明
g \colon D\to \mathbb{C} を
g(z) = \begin{cases} (z-a)^2 f(z) & (z \neq a) \\ 0 & (z = a) \end{cases}と定めると,これは正則である。実際, g が z=a で微分可能であればよいが,
\begin{aligned} \frac{g(z) - g(a)}{z - a} &= \frac{(z-a)^2 f(z) - 0}{z - a} \\ &= (z-a)f(z)\\ &\xrightarrow{z\to a}0 \end{aligned}となっているからである。よって, g'(a)= 0 である。また定義より g(a)=0 である。これと正則関数はテイラー展開可能なことから, a の近傍 U_a\subset D 上で
g(z) = \sum_{n=2}^{\infty} c_n (z-a)^nとかける。このとき, z \neq a においては
\begin{aligned} f(z) &= \frac{g(z)}{(z-a)^2} = \sum_{n=2}^{\infty} c_n (z-a)^{n-2} \\ &= c_2 + c_3(z-a) + c_4(z-a)^2 + \cdots \end{aligned}となる。この右辺のべき級数は U_a 上で収束し,正則関数を定める。したがって, a における値を f(a) = c_2 と定義し直すことで, f は D 上に正則に延長できる。よって, a は f の除去可能特異点である。
証明終
具体例
除去可能特異点の代表的な例として, f(z) = \sin z/{z} があります。 この関数の定義域は \mathbb{C}\setminus\{0\} であり, 0 は孤立特異点です。ここで,定理の条件4.を当てはめてみると,
\begin{aligned} \lim_{z \to 0} (z - 0)f(z)&= \lim_{z \to 0} \sin z = 0 \end{aligned}となり,条件をみたします。したがってリーマンの除去可能特異点定理より, 0 は除去可能特異点です。実際, f(0) = 1 と定義してやれば,これは \mathbb{C} 全体で正則な関数(整関数)となります。
関連する記事



